理科棟職員室の窓の外に美しい姿の鳥がヒラリと飛んできて、枝に止まりました。急いでスマホのカメラに収めたのですが、咄嗟のことでピントが甘く、しかも逆光の写真となりました。お許しいただきたい。この鳥はキビタキの雄です。
日本には夏鳥として飛来します。山の中の落葉樹の森林で子育てを行い、秋に南へ渡ります。鳥好きにとって、この渡りの時期は狙い目で、都市部の公園でもお目にかかることがあります。このキビタキも渡りの途中と見えて、その後、校内で確認することはありませんでした。
【問題】渡り鳥を「夏鳥」「冬鳥」「旅鳥」などと呼びますが、その意味を正しく説明できますか?
夏鳥は日本に繁殖のために飛来し、冬になる前に日本より南の地域に越冬のため去っていきます。ツバメなどは誰もが知っている夏鳥ですね。冬鳥は日本より北の地域で繁殖し、冬の季節を日本で越冬します。カモやハクチョウのなかまが有名です(ただし、カルガモなどは例外)。したがって、冬鳥が繁殖する姿を日本でみることは基本的にありません。また、日本より北の地域で繁殖し、日本より南の地域で越冬する場合は春と秋に日本を通過します。これを「旅鳥」と呼んでいます。大陸の東に弧状に連なる日本列島は鳥たちにとって渡りのルートとなりやすいものと思われます。
キビタキの渡りのルートも調査されていてます。キビタキは日本以外にも、朝鮮半島、中国沿岸部を繁殖地とし、ボルネオ島などを越冬地としています。南下ルートは南西諸島からフィリピンを通るようですが、なぜか北上するときはインドシナ半島と中国を経由するとのことです。これを「時計回りの環状経路」というそうです。
しかし、夏鳥、冬鳥などと言いますが、渡り鳥たちにとっては関係のない話でしょう。長年使っている飛行ルートの下に、ヒトが定住生活をはじめ、それぞれの場所のヒトの目線で呼び分けているに過ぎないのですから。ましてや国境線などは言うに及ばず、に違いありません。
【キーワード】秋の渡り 繁殖地 越冬地