みなさん、こんにちは。
この企画。本校の個性あふれる教職員の紹介とともに、どうぞ!
第22弾はインテリジェンスな知性に溢れ、かつ国際中高きってのゲームの腕前の持ち主・佐々木早由里先生です!
佐々木 早由里
氏名:佐々木 早由里
教科:社会・地歴公民科(専門は近現代フランス史。なのでフランス語とラテン語は少しだけ読めます。校舎の壁に書いてあるものも…なんとか読めます)
好きな言葉:力や知性ではなく、地道な努力こそが能力を解き放つ鍵である。by ウィンストン=チャーチル
趣味:読書(ミステリ好き)、ゲーム、世界史(高校時代、先生には「君は趣味が世界史だね」といわれていた)
機会があったらしてみたいこと:教員を引退したら、シニアプロゲームプレイヤーになりたい。(荒唐無稽だと自分でも思いますが、一生何かの現役でいたいということです!)
『書物狩人』(ル・シャスール)
著者:赤城毅 出版社:講談社文庫
❶この本を読んだきっかけ
皆さんは文庫本の最後に「目録」がついているのを知っていますか?目録のなかにフランス語のフリガナがふられた書名を見つけたことが、この本との出会いでした。あっ、フランス語だ。シャスール、ってことは狩人?何の狩りなんだろう?本のジャンルも分からず買って読んでみたら面白く、ハマってしまいました。というわけで、本当に偶然出会った本です。
❷かんたんな内容
本には様々な情報が書かれています。中には歴史をひっくり返しかねない情報が書かれたものも…。そんな貴重な、しかしそれゆえに危険な本の数々。それらを探し出し、あらゆる手段を用いて入手するのが「書物狩人」です。そんな書物狩人の中でも一番の腕利きと名高い、「狩人」と名乗る男が活躍する冒険譚です。
❸おすすめする理由
歴史の裏側には誰も知らない真実が潜んでいるのかもしれない。今我々が当たり前だと思っている歴史認識は、一冊の本の記述によっていとも簡単に崩れ去るかもしれない。そんな想像力をかきたてられる作品です。著者はドイツ史の研究者としての顔も持ち、(本名の大木毅名義で発表された『独ソ戦』は本校にもあります。こちらもおすすめ)豊富な文献と知識をもとに物語が組み立てられています。そのため実際の歴史上の事件を題材にしたフィクションでありながら、不自然さや嘘くささがありません。マニアックな歴史の知識がなくても読めます。短編が多く、読書初心者さんでも読みやすいです。
❹みんなへのメッセージ
人間と他の生き物との違いは何か。人間とは何か。私たちは紛れもなく人間なのに、いざ答えようとすると言葉に詰まってしまうのです。遥か昔からこの問いに答えようと、人間は様々なアプローチを行ってきました。その一つが科学技術として結実し、今日人々の生活を便利にしていることは言うまでもないことでしょう。物語はドローンやAIのように、人間の生活を直接便利にするものではないかもしれません。しかし物語の中で語られるのは人間のすがたそのものです。交錯する思考、やり取りされる命、豊かな知恵。物語の中の人間に触れ、私たちは人間という得体の知れないものへの認識を新たにするのではないでしょうか。人間とは何か。この問いに対する、科学とは違った形のアプローチ。それが物語なのだと私は思います。