みなさん、こんにちは。
この企画。本校の個性あふれる教職員の紹介とともに、どうぞ!
第14弾は自称「潜水士の」2 廣瀬先生です!
廣瀬 祐司
氏名:廣瀬 祐司
教科:理科(生物)
クラブ:生物部
座右の銘:一年の計は春にあり
最近好きなこと:サンゴ礁でスノーケリング
『生態学入門第2版』日本生態学会編
著者:東京化学同人
読者の立場からではなく、編集者の立場からのおすすめ図書です。
❶ この本について
1998年に生態学メーリングリスト上で、日本生態学会が生態学教育専門員を公募していることを知り、大学教員になっていた友人の推薦を受けて委員に就任しました。
委員は8名で3名が高校教員、2名が教育学系の大学教員、2名が生態学を専門とする大学教員、1名が博物館の学芸員でした。合宿して、つまり寝食を共にして議論を重ね。
1)自然誌や生態・進化を教えられる教員をどう確保するか;
2)身近な自然環境で学べる材料や現象をどう教員につたえるか;
3)生態や進化を学学ぶ意義をどう伝えていくか、次の学習指導要領改訂に向けてどのように行動するべきか
それぞれの立場から議論しました。
当時の高等学校で使われていた生物の教科書は、生態学分野の記述は項目の羅列にとどまっていて、どう読んでも体系的になっていない、これをどうにかしたい!といいうのが日本生態学会が生態学教育専門委員会を立ち上げた動機の一つでした。
お手本になる、日本語で書かれた標準的な生態学の教科書がないことも問題でした。
私自身は C. Krebs のEcology: The Experimental Analysis of Distribution and Abundance を理学部の先生に勧められて4回生の夏に読みました。
日本語で書かれた教科書には読むべきものがなかったのです。
第一回の合宿委員会で、私が「高校生の生態学」という高校生向けの教科書をつくってはどうだろうと提言したところ、委員の皆さんから賛同を受け、2004年に「生態学入門」第1版として出版することができました。
委員会のメンバーは編集委員として、項目案の作成・執筆者へ原稿の依頼・入稿した原稿の校正に分担して当たりました。
現在入手可能なのは、その後2012年に出版された「生態学入門」第2版です。印税は生態学会に寄附し、合宿や編集委員会の開催のために使いました。
❷ みんなへメッセージ
「生態学入門」は当初の目論見であった高校生向けの教科書「高校生の生態学」とはややはずれ、大学の学部での教科書として広く使われています。
けれど、多分そのおかげで、現在の高校で使われている生物基礎、生物の教科書の生態学分野の記述は、1998年時点とは比較にならないくらい改善され、現代化されています。
国際バカロレアDiploma Program のBiologyやEnvironmental Scienses and Societiesの内容にも負けていません。
でも、高校教科書の記述に満足しないで、「生態学入門」も読んでみてくださいね!