大阪国際中学校高等学校

日々雑感2

英語科、辻です。

久しぶりに、宮崎駿監督作品、映画「風立ちぬ」を見ました。この映画については、公開当時それまでの宮崎駿作品と違って、様々な見方と解釈がされました。禁煙団体が、喫煙シーンの多さで批判をしたのもそのひとつでした。その他、宮崎駿本人が、自分の夢を追い求める姿を、堀越二郎になぞらえて描いている作品。戦争の凄惨な場面を描かずに、静かに反戦を訴えている作品。また、菜穂子の限りある命を背景とした純愛物語。そして、兵器である戦闘機に美しさを追求し、その設計に自らの全てを注げる二郎の善悪を超えたひたむきな生き様。「風立ちぬ」は、宮崎駿監督個人の思いがいっぱいに詰まった映画でありつつ、見る人の感性と視座によっていろいろな姿に映るという希有な映画だと思います。

私の印象に残っているのは、関東大震災と昭和恐慌のシーンです。二郎が生きる時代を象徴するシーンですが、私には、東日本大震災後や、現在の新型コロナウィルス感染症の蔓延で、経済的不況に陥っている社会を象徴しているように思えます。

もちろん、「風立ちぬ」は、堀辰雄の言葉、「風立ちぬ。いざ、生きめやも(風はたった。生きようと試みなければならない)」がテーマとなっています。堀越二郎は、どうしようもない矛盾に溢れた世界のなかで、自らの夢に向かって、ただひたむきに生きていきます。それが、美しい戦闘機をつくる、という夢であったとしても。そこには、自らの生を全うしようとする健気な覚悟があります。

私が映画を通して最も感銘を受けたのは、「エキストラ」に当たる人々の生き生きとした姿です。関東大震災のシーンで、多くの人々が混雑した東京を逃げ惑います。しかし、その人々は、単に二郎や菜穂子の背景に終わっていません。その人々も自らの生を健気に生きていて、東京の街を走り、叫び、逃げ回ります。そんな人々を描くことで、宮崎駿監督は、「今の時代を生きている私たちも、そのようにひたむきに生きている。だから、お互いにそのひたむきさに目を向け、認め合おう。そこから絆が生まれるのだから。」と語っているように思えて仕方がないのです。

大阪国際中学校

大阪国際高等学校

CONTENTS

高校パンフレットダウンロード

国際バカロレアコースリーフレットダウンロード

中学校パンフレットダウンロード

学校公式インスタグラム

募集広報ツイッター