大阪国際中学校高等学校

教職員おすすめ図書シリーズ(杉井紀夫)

みなさん、こんにちは。

リアクションをいただき始めたこの企画。本校の個性あふれる教職員の紹介とともに、どうぞ!

第4弾は時には厳しく、時にはおちゃめな、中学のパパ的存在の杉井教頭先生です!

杉井紀夫

氏名:杉井紀夫
教科:地歴・社会科
座右の銘:Keep The Faith 「信念を貫け」
好きな食べ物:炭水化物系

『長い旅の途上』

著者:星野道夫 出版社:文藝春秋

❶この本を読んだきっかけ
20数年ほど前に知人から地球交響曲(ガイアシンフォニー)というドキュメンタリー映画を、「眠たくなるけどとても感動するから観てみたら。騙されたと思って。」と紹介してもらいました。その映画は、超常的な能力を発揮する人物(オカルトではありません)への取材からなる短編集で、確かに眠たくはなるのですが、観終わった後、本当に心を動かされてしまう映画でした。その短編の中で「星野道夫」という写真家が取り上げられており、彼は悲運にも取材中にヒグマに襲われ亡くなってしまうことを知りました。その映画を通して彼の生き方に興味を持ち、また「アラスカ」を舞台に撮影されたその写真に感動し、いろいろと調べるうちに、彼のエッセイ集が絶賛されていることを知りました。一体どんな本だろうとさらに興味がわき、手に取ったことがきっかけで、彼の文章の世界にのめり込んでしまいました。

❷本の簡単な内容
先ほども書きましたが、星野道夫さんは1996年にTV番組の取材のために訪れたカムチャッカ半島でヒグマに襲われ43歳でこの世を去ります。この本は、彼の死後、これまで雑誌等に掲載された彼のエッセイを集めて出版されたものです。
彼は19歳の時、アラスカの写真集を見たことがきっかけで、アラスカに魅了されます。その後、アラスカに移住し、自然や人々、動植物にシャッターを向けながらアラスカの自然やそこから感じた思いを文章に綴られていきました。

❸おすすめする理由、❹みんなへのメッセージ
極寒であり壮大なアラスカの自然に対する描写がとても美しく、読むごとに見たことのないはずのアラスカの情景が目に浮かび上がってくるような感覚に陥ります。しかもそこが素晴らしいだけではなく、星野さんの人生観や死生観に私はとても引き込まれていきました。読めば読むほど星野さんの文章は深い思いが込められていることが感じられ、何度も何度もそのフレーズを読み返したのを覚えています。

「生きるとは」「人生とは」何か、という誰もが陥る疑問を抱いていた当時の私にとって、彼の文章からはっと気づかされることや、自分の道を歩んでいくためのヒントをたくさん得たと思います。答えの見つからない迷宮に入り込んでしまった時、物思いにふけってしまった時、日常の雑踏から解放されたい時などに読んでみるといいかもしれません。「騙された」と思って、手にとってみてください。

尚、残念ながらこの本は本校にはおいていませんが、生前に出版されていた『旅をする木』というエッセイ集(他)が書架にあります。興味がある人はまずはこちらを読んでみてはいかがでしょうか。

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