和室棟のカンヒザクラが満開で、一足先に春の到来を告げています。
「サクラ」とはいうものの、よく見るとソメイヨシノとはかなり趣が異なります。ソメイヨシノの花弁の色はほぼ白に近いほどの薄い桃色なのに対し、カンヒザクラはかなり赤色に近い桃色。個々の花の大きさを比べてみてもカンヒザクラはソメイヨシノよりもかなり大きいことがすぐわかります。また、花弁が開ききらずに釣鐘状になって下を向いているのもカンヒザクラの大きな特徴です。
カンヒザクラを漢字で書くと『寒緋桜』。まだ寒い日もある早春に、緋色の花を派手につけるこの種の花の特徴をよく表した名前です。
今回はカンヒザクラと雑種について触れてみたいと思います。
高校生物の学習では、遺伝子を組み換えたり、ある生物の遺伝子を他の生物の細胞に導入することによって形質を変化させる技術などを学習します。しかし、そのような技術を用いることができるようなったのは人類の歴史において、ごく最近のこと。それ以前はどのようなことを行っていたのでしょうか。
その一つが、交雑によって新たな品種を作り出すという方法です。異なる系統の種を人工的に交配して作出された品種を交雑品種といいます。人類は昔から交雑品種によって有用な作物をたくさん手に入れてきました。実は皆さんが日頃食べている農作物や園芸品種などにも交雑品種がたくさんあります。異なる系統の望ましい形質を引き継ぐ(いわば「いいとこ取りすること」)ことを雑種強勢といいます。
【問題】交雑品種の例は動物よりも植物で広く知られています。なぜなのでしょう?
カンヒザクラとの交雑品種はたくさん知られています。おそらく花の華やかさと春に先駆けて花が咲く性質を導入することが大きな目的だったのでしょう。AIに質問すると、カワヅザクラ、オカメザクラ、ヨウコウ(陽光)、ツバキカンザクラ、その他にもたくさんの名前が列挙されてきました。このうちカワヅザクラ(河津桜)はカンヒザクラとオオシマザクラの自然交配によってできたことが判っています。その原木が、1955年に静岡県河津市で発見され、これを増産して有名になったこの品種は、今や河津川沿いに約8000が並んでおり、この時期に咲き誇るとのことです。
昔から人々は交雑品種をつくることで、様々な形質を持つ植物をつくり、その花を愛でることを楽しんでいたのでしょう。これも立派なテクノロジーだと思います。
【キーワード】 遺伝子組換え 交雑 雑種強勢












