物理実験室に大きなクモが出た、との知らせを受けて急行。部屋の隅に置いていた段ボール箱の中に隠れていたクモを捕獲。確かに大きい(測定してみると開いた脚の端から端まで約12cmありました)。このクモの名はアシダカグモ。徘徊性のクモの中では日本最大と言われています。
「徘徊性」とは何でしょう?多くの人は、クモといえば「クモの巣」を連想するかもしれませんが、すべての種類が網状の巣を作るわけではありません。網を張る種類(造網性)と張らない種類(徘徊性)があります。アシダカグモは後者に含まれます。
【問題】クモ類のエサの取り方は結構バラエティに富んでいます。ハエトリグモなど、網を張らずにエサを取るクモについて調べてみよう。
網状の巣を張らないアシダカグモはじっと獲物が通るのを待ち伏せ、獲物が通ると瞬時に襲い掛かるという形の狩りをします。アシダカクモの事を知っている人は、その動きの速さが印象としてあるのではないでしょうか。ちなみにアシダカグモはゴキブリの天敵らしいので、ゴキブリ嫌いの人にとっては味方と言えます。
ゴキブリも結構動きが速い昆虫ですが、アシダカグモの瞬発力はそれを上回るということでしょう。調べてみると、この瞬発力はどうも特殊な能力のようです。私たちは手足を曲げ伸ばしするときには屈筋と伸筋という2種類の筋肉を使います。クモの脚は曲げる時には筋肉を利用しますが、外側へ伸ばすときには体液の圧力を利用するらしいのです。いわば油圧式で動く機械と同じ原理です。クモの中には何の前触れもなく突然体長の何十倍もの距離ジャンプする種類もあります。これも同様のメカニズムらしいです。(クモの脚の動きのしくみについては、まだしっかり調べていませんので話題提供の範囲です。詳しい話をご存じの方は教えていただきたいです。)ちなみに、クモが死ぬと脚を内側にして丸くなるような態勢になるのは、足の内側に曲げる筋肉だけが作用するからということです。
アシダカグモは別名『軍曹』とも呼ばれます。ゴキブリがいるところにはアシダカグモが現れ、ゴキブリがいなくなると人知れず去って行く、という話もあります。軍曹という名前の由来は知りませんが、見た目はいかついけど、日頃は静かに身を潜め、獲物を発見すると瞬時に襲い掛かり、そして去って行く…と、考えると「仕事人」みたいで何だか心に刺さります。
リスペクトの気持ち込めて、捕獲した軍曹を校舎の隅にそっと解放させていただきました。
【キーワード】クモ-徘徊性と造網性 体液 『軍曹』










