大阪国際中学校高等学校

キャンパスの生きものたち 19 『 ウツギ 』

本校敷地の南東の隅にウツギの木があります。ウツギが咲くと、季節は春から初夏へ向かいます。あまり人が通らない場所であるせいか、見過ごされている植物かもしれませんが、枝に連なって咲く白い花の集まりには見応えがあります。
ウツギは「空木」と書き、幹が中空であることから名付けられたそうです。

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私は学生時代に花に訪れる昆虫を調べていたことがあり、その中でウツギは非常に思い出深い植物でした。というのは、当時調査していたフィールドに生育していたウツギには黒い小型のハチが大量に訪れるのです。このハチ以外にウツギに訪れる昆虫はほとんど皆無でした。このハチの名を調べたところ、ウツギノヒメハナバチあるいはコガタウツギノヒメハナバチという2種類のハナバチでした。逆に、ウツギノヒメハナバチとコガタウツギノヒメハナバチが他の花に訪れている例を確認することはできませんでした。(観察者である私が確認できなかったという意味で、絶対に他の花に訪れてないと断言できる、ということではありません。念のため。)

つまり、当時の私が観察した範囲内で考えられることは、ウツギの送粉(花粉をおしべからめしべに運ぶこと)はこの2種のハチにのみ依存しているということ。逆に、この2種のハチはウツギの花粉あるいは蜜のみを食料にしている可能性が高いということです。そこには、特定の植物と特定の昆虫の間の緊密な関係が認められます。

【問題】植物と動物が1対1とも言える緊密な関係を結んでいる例は他にもあるでしょうか?

では本校のウツギはどうなのか?この学校ができて4回目の初夏が訪れましたが、未だにウツギノヒメハナバチとコガタウツギノヒメハナバチの訪花(花に訪れること)を私は確認していません。そして本校のウツギにはほとんど実が見られないのです。つまり、本校に植えられたウツギは残念ながら、重要なパートナーにまだ恵まれていないようです。
それでもウツギは今年も健気に白い花をしっかりと咲かせました。私にとって気長に見守ってあげたい植物です。

【キーワード】訪花昆虫

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