大阪国際中学校高等学校

【2学期終業式】令和6年度2学期終業式式辞

 

 

清水校長先生の式辞

 今日は2学期の終業式です。みなさん、2学期を振り返ってみて、どうでしたでしょうか?充実した学校生活を送れましたか?文化祭やコーラス大会では、普段の授業とはまた違った皆さんが活躍する姿を見ることができてとても良かったです。

 あと1週間で2024年も終わりです。この1年を振り返って皆さんにとって一番印象に残った出来事は何だったでしょうか。今年の始まりは能登半島大地震でした。さらに8月には、宮崎県沖地震があり南海トラフ臨時情報が発表され、日本全体に緊張感が走りました。そのほかにも全国各地で豪雨被害があるなど暗いニュースが多い中で、パリ五輪での日本人選手のメダルラッシュ、そしてなんといっても大谷翔平選手の大記録ずくめの活躍は明るいニュースでした。

 最近のニュースでは、福岡県のマクドナルド店内で、塾帰りの中学生が襲われるというショッキングな殺傷事件が発生しました。容疑者はすでに逮捕されていますが、動機がまだわからず、店内へ入って犯行後に逃走するまでにわずか数十秒のあっという間の出来事で、防ぎようもなかったということです。被害者とその家族の方の無念さには言葉もありません。

 皆さんも年末年始にかけて繁華街に出かける機会もあるかもしれませんが、スマホや友人との会話に夢中になっていると周囲の状況が分からず、思わぬ事故や事件に巻き込まれてしまうことがあります。この時期、クリスマスやお正月気分でどうしても気が緩みがちになりますので、周囲には十分に気を付けて危険な目に合わないように心がけましょう。

 さて、食堂と美術棟の間の大枝公園側に大きな像が設置されたのに気が付いた人も多いかと思います。これは滝井高校の屋上に設置されていた「平安の像」がこのたび校舎の解体に伴いここに移設されました。1967年に設置されてから57年にわたり、屋上から滝井高校の生徒の安全を見守ってきましたが、これからは本校の生徒の皆さんの安全と平和を見守ってくれることでしょう。また、エントランスに設置された2体の胸像ですが、学園第2代理事長の故奥田政三理事長とその夫人である故奥田せつ元帝国学園幼稚園長のものです。実は、この作品も先ほどの平安の像と同じく作者は有名な芸術家・日高正法さんの制作によるものです。日高正法さんの作品は、御堂筋の淀屋橋駅近くの歩道にその彫刻が展示されています。興味のある人はぜひ探してみてください。

 ところで、人生には大なり小なり乗り越えなければならない壁があったり、また乗り越えられず挫折したり、そして予期しえない病気や事故に見舞われることもあります。学校生活においても、家族や友人との人間関係がうまくいかずに悩んだり、テストの成績がなかなか伸びずに悩んだりする人がいます。その状態が続くと、精神的に不安定な状態となり、夜なかなか寝付けなかったり、夜中に何度も目が覚めてしまう、いわゆる「不眠」の状態に陥ったり、さらには学校へ行くのがつらくなって欠席がちになってしまう人もいます。そういう状況になる原因の多くはストレスによるものとされています。

「レジリエンス」という言葉を聞いたことがありますか。これは、「精神的回復力」「抵抗力」などとも訳されますが、先ほど例に挙げたような苦しい局面を乗り越えられる力を「レジリエンス」と呼びます。同じことを経験しても、人によってストレスの感じ方や度合が異なるのは、レジリエンスの違いからだとも言われています。

 では、どうすれば「レジリエンス」が身に付くのでしょうか。

 まず、思考の「柔軟性」をもつようにすることです。精神的に強くないといけないとはいっても、環境に合わせられる「ソフトな部分」も持ち合わせないと限界が来ると心が「ポキッ」と折れてしまいます。つまり、行き過ぎた「完全主義」はやめること。場合によっては、妥協することも必要と考えるくらいがちょうどよいのです。

 次に、「自尊感情・自己肯定感」をもつようにすること。自尊感情が高い人は、精神的に健康で、社会に適応しやすいといわれ、逆に自尊感情が低い人は、抑うつや、不安感、絶望感が高いと言われています。高い自尊感情は、人が社会の中で幸せに生きていくために必要なもので、逆に自分が役に立たない、何もできないとしか思えない時、精神的に不安定な存在になってしまいます。むしろ、「自分ならきっとできる!」と自己暗示をかけたり、「自分はよくやっている」と自己肯定感を感じられる人の方がストレスをうまくコントロールできるのだと考えられています。

 三つ目に、「楽観的」に物ごとを考えること。失敗しても、すぐに気持ちを切り替えて、いつかはうまくできると考える楽観性が大切です。楽観的な人々は、悲観的な人たちよりストレスを上手に扱っていると言えます。厳しい状況でも、ネガティブな面だけではなくポジティブな面を見いだす事ができる人、つまりプラス思考の人の方が、逆境をうまく乗り越える事ができるのです。

 わかりやすい例としてスポーツの試合を取り上げてみましょう。ピンチになった時に「失敗したらどうしよう」というマイナス思考から緊張感や不安感を招き、肩に余計な力が入ったり足が止まって動かなくなったりして、結果的にミスをしてしまうということを経験した人も多いでしょう。

 スポーツ選手が抱える緊張感、不安感の要因として考えられるのは、次のようなことがあります。

  ・迷惑をかけたくない、 ・弱点が気になる、 ・体調や怪我が気になる、
  ・技術に自信がない、  ・あせってしまう、 ・負けることが恐い などです。

 きっと皆さんもいくつか思い当たることがあるでしょう。

 試合中にこのような精神状態になれば、とても実力を発揮することはできないはずです。プレッシャーに弱い選手は、これらのネガティブな発想はすべて捨て去ること、つまり、いかにポジティブな発想を持つことができるかが課題になります。そのために、普段の練習から技術面、肉体面だけでなく、メンタルトレーニングもしっかりすることが大事なのです。そして、いつでもいいプレーをイメージできるように準備することです。

 そして、「レジリエンス」が求められる場面は、スポーツに限ったことではありません。文化部の発表会やコンクールの舞台で自分の出番を待っているときなどもきっと同じでしょう。本番までにいかにして不安感を取り除いて、実力を本番で発揮できるか。それは周到な練習と準備をするしかないですね。

 そして、受験の時もそうです。高校3年の皆さん、受験当日不安のないように、この冬休みに苦手な科目をしっかり補強し、自信をもって受験に臨めるよう頑張ってください。

 この年末年始は厳しい寒さが続くそうです。インフルエンザが大流行の兆しを見せています。私も実は先週末にインフルエンザに感染して寝込んでしまいました。生徒の皆さん、この年末年始は特に体調に気を付けてください。

 3学期の始業式で、また皆さんに元気に挨拶できるのを楽しみにしています。どうか良いお年を迎えてください。ありがとうございました。

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