オタマジャクシはカエルの子
ナマズの孫ではないわいな…
と歌われます。しかし、どういう訳か、アフリカツメガエルの幼生(オタマジャクシ)はナマズにそっくりなので、何だか笑えます。何せ、ヒゲまで生えていますので。(今回は残念ながら写真はありません)
飼育していたアフリカツメガエルの幼生が成体へと変態するとき、何故か死んでしまう個体が多くて、困っていました。しかし写真の個体は何とか成体になれそうなところまで成長しました。からだが少し透けているので、体内の構造がそれとなく観察できるのも面白いです。
【問題】両生類は変態することで具体的に体のどこが、どのように変化しますか?
尾に注目してください。短くなって、痕跡的になりつつあります。
変態に際して、オタマジャクシの尾はどのようにして消失するのでしょうか?従来までの説明では、甲状腺ホルモンの血中濃度がこの時期に高まり、それをきっかけに細胞が自ら死ぬ(生物の教科書に書かれている「アポトーシス」という現象です)と言われてきました。しかし、新潟大学の井筒ゆみ教授という方は、オタマジャクシが自らを尾の細胞を異物と見なし、免疫細胞が尾の細胞を壊すことによって尾の消失が起きるという実験結果を報告しています。免疫と言えば体内に侵入した異物を排除するシステムとして学習します。ところが、そればかりではなく体を正常に作り上げることにも働いていた、ということです。なかなか興味深い話です。
この場でこれ以上詳しい説明はしませんが、「オタマジャクシがカエルに変態した」という身近な現象の中にさえ、高校の教科書に書かれている内容がしっかり関連しているということがわかります。
その気になって生きものを観察し、日々の学習との関連を発見することができたら、勉強はきっと楽しくなります。
【キーワード】甲状腺ホルモン アポトーシス(プログラムされた細胞死) 自己免疫