理科棟裏のネムノキが開花しました。独特の風情のある花なので、ぜひ見に来てください。
ネムノキには夜になると葉を閉じ、朝に葉を開く「就眠運動」という現象が見られます。高校の生物の教科書によると、植物が屈曲するなどの反応の多くは成長速度の差によって生じる成長運動である、とあります。しかし成長運動は不可逆的で、ネムノキの就眠運動は成長運動では説明できません。ネムノキの就眠運動は成長運動ではなく、細胞内部の圧力である「膨圧」の変化、つまり膨圧運動として説明されています。わかりやすく言うと、膨圧が高い時、植物はピンと張った姿を保ち、膨圧が低いと垂れ下がった姿になるということです。風船のようなものを想像してもらえたらイメージできるでしょうか?風船の「張り」は風船内の空気の圧力によるものですが、植物細胞の「張り」は細胞内の水の圧力(すなわち膨圧)という違いはありますが。
【問題】膨圧の変化によって起こる植物の反応について、他の現象も調べてみよう。
象潟や雨に西施がねぶの花 芭蕉
西施とは中国に語り継がれる美女のこと。初夏の象潟(現在の秋田県にある地域)を旅する芭蕉は雨に煙るネムノキの花を見つけ、ふと脚を止め、そこに西施の姿を見たのでしょうか。もう一度言います、ぜひ見に来てください。ふわりとした淡い桃色が、確かにどこか異国情緒を感じさせる花です。
【キーワード】就眠運動 膨圧および膨圧運動
※葉が開いている写真は7:30ごろ、葉が閉じている写真は同日19:00頃に撮影