ビオトープ池にハンゲショウという植物がちょっと変わった風景を醸し出しています。
「葉の白い部分は何かの病気?」「鳥のフン?(それにしては量が多すぎ?)」などと言われることもありますが、これは通常の姿です。
ハンゲショウは頂部に小さな花を穂状に集めて咲かせ、その近くの葉が白くなります。葉の一部が白くなるのは開花期のみで、花の時期が終わると葉は緑色に戻ります。葉が白くなるのは昆虫を誘うために変色すると考えられています。つまり目立つ花弁(花びらのこと)代わりなのです。
花弁のように見えて、実はそうでないという例はけっこうあります。ドクダミ、ヤマボウシ、ハナミズキといった植物では、小さな花が集まって咲き、その周囲の花弁のように見える部分は総苞片と呼ばれ、形態的には花弁ではありません。
ちなみにハンゲショウはドクダミ科に属する植物です。
花はがく、花弁、おしべ、めしべから成り立つという基本構造をもっています。高校生物ではこれらの分化が遺伝子によって制御されているしくみを学習します。
【問題】 花のそれぞれの部位の分化のしくみを「ABCモデル」によって説明してみよう。
ハンゲショウの場合は、特に形態の分化を示さず、葉の状態のまま、色だけを変えることによって、葉に花弁の役割をもたせているように見えます。植物の世界では「昆虫を呼び集めるのは花弁でなくてはならない!」っていう訳でもないようですね。
【キーワード】 苞葉または総苞片 ABCモデル