「学校」には、一般社会とは異なる時の流れがある…。学校の保健室に勤務するようになって以来、私は常々そのように感じてきました。それは多分、児童生徒のみなさんが日々成長しているから、成長過程にあるみなさんの加速度（？）を感じるからではないのか…と、心の中でそう納得して今に至っています。
 
　本校に来る前の数年間小学校にいた私は、さらに小学生の成長と中高生のそれとは、少し何かが異なるような気もしています。児童の場合、幼児期を終えたばかりの子どもが思春期を迎えるまでを小学校で過ごすわけですから、成長発達は顕著…意識せずとも、誰の目にも明らかです。それに対して中高生特に高校生の場合、すでに身体はほぼ大人と同じ程度に成長していますので、目に見える部分の成長は小学生ほど顕著ではありません。けれど、目に見えないところ―精神面・心の成長はもしかしたら小学生の6年分に匹敵するくらい、いやそれ以上に大きな伸びがあるのかもしれないと思っています。それらが目に見えにくい分、時にその成長・伸びが止まってしまったかのように思えてしまう時もあるかもしれませんが、決してそのようなことはありません。中学生・高校生のみなさんは、まだまだ伸び行く途上にある…私はその事実を何度も目にしてきました。
　
　「しんどい」「しんどい」と、毎日のように保健室のベッドで休んでいた生徒が、文化祭やクラブの舞台で堂々と役割を果たしている姿を目にしたとき、ひどい消化器症状で早退するにも歩くことさえできなかった生徒が、二日後には元気で登校しているのを目の当たりにしたとき、体調不良で朝の登校がつらかった生徒が元気になり、留学にチャレンジすると聞いた時…。その度にみなさんの成長の加速度を感じ、鳥肌の立つような感動を覚え、時にはひそかにウルウルしてきた私でした。
そんな特別な時の流れを有する「学校」に、縁あって導かれ、そこで少なからぬ時を過ごして来られたことを、私は心から幸せに思っています。
 
　新しい年度が始まろうとしています。生徒のみなさん、今年も一年間感動をありがとう。そして、みなさんの伸びる力をどうか大切に。新しい一年も、みなさんが精いっぱい伸び行く日々であることを信じ、祈っています。

written by　養護教諭　加藤