間もなく秋の遠足シーズンを迎える。
恐らくはこの時期、どこの学校においても遠足の企画について、生徒を前に概要説明が行われているであろう。それはもちろん本校においても例外ではない。本日のLHRの時間に、秋の遠足に向けた説明会が行われた。しかし、ここで説明をしているのは教員ではない。3名の生徒が全校生徒を前に遠足の概要説明を行っているのである。そう、遠足を企画したのは、中学2年生の男子生徒2名と3年生の女子生徒1名なのだ。
本校の特色の一つに、総合学習の取り組みが挙げられる。
2,3年生の総合学習は、思考力や自己表現力といったこれからの時代に求められる力を養うという大前提のもと、合計9種類もの講座を展開している。講座は囲碁やダンス及び華道、更にはマジックなど多岐にわたり、生徒が各々興味のある講座を選択するのである。総合講座のうち、PBLという講座がある。PBLとは、Project-Based Learningの略称で、自ら課題を設定し調査・分析することで、自ら学習する姿勢と課題解決のための方法論を身につけることを目的とする。
秋の遠足は、PBLの一環で生徒が企画し、運営まで生徒が行うこととしている。
全校生徒を前にする3名の中学生。3人を心配そうに見守るPBL担当の教員。説明会場の空気は張り詰めた状態となっている。3人は無事に説明を終えることができるか?(失敗してもいい。はっきりと後ろまで届く声でゆっくり説明してくれればそれでいい。しかしながら、一抹の不安が残る・・・。)
緊張した面持ちで3年生が意を決し概要を話しだした。何せ、自分たちで立案した計画を初めて全校生徒の前で発表するのである。自分たちの案が皆に受け入れられるのだろうか?そのような不安感が彼女にあったに違いない。
「これから、秋の遠足の説明を始めます!今回私たちは、京都に行き、和菓子作り体験などを通して、歴史や文化に触れること、また、学年縦割りのグループとして皆さん全員の親睦を深められるようにと願って、今回の企画を考えました・・・」
最後のフレーズを話した頃には、彼女のいつもの元気さがにじみ出ていた。(よし、大丈夫だ!)
3年生が口火を切ってくれたおかげで、続く2年生も身振り手振りを交え、訪問先の魅力を元気に伝えてくれた。
3人の説明が終了すると同時に、3人は拍手喝采の中にいた。
PBLの趣旨は、調べ学習で終えるのではなく、自分で調べ行きついた結論にもとづき、実践に移す、というところがポイントである。本日行われた説明会は、実践に移すための第一段階となった。今回の経験は、3人を大きく成長させたにちがいない。一つ一つの成功体験が、人を大きく成長させる。自然と3人からこぼれる笑みが、それを物語っている。
(文責:中学主任 杉井)