大阪国際中学校高等学校

​日々雑感4

英語科 辻  潔
 
先日、人気テレビ番組、「チコちゃんに叱られる」を見ていると、次のような質問がありました。「人は恐怖を感じると、どうして顔色を失うの?」。人が恐ろしいと感じると、顔色が悪くなる、または、白くなる。それはよくあることですが、一体どうしてでしょうか。

正解は、「命を守るため」でした。恐怖を感じる状況とは、危害を加えられる、つまり、けがをして、命に係わる危険を感じている、ということです。すると、人間の体は、血管を収縮させて、血液の流れを悪くします。けがをした時に、できるだけ血液が体外へ流れ出ないようにするためです。だから血流が悪くなり、顔色を失う、ということになります。それに合わせて、血液が固まりやすくなることもわかっています。

では、「恐怖を感じると、どうして体内の血管や血液にそんな変化が起こるのか?」という質問になると、「まだわからない」ということでした。恐怖という「心」と血管や血液という「身体」のつながり。これはとても興味深い問いです。
ひとつ思い出したことがあります。それは、脳神経科学者、ベンジャミン・リベット博士の実験(1983年発表)です。彼は、人の意識と、脳の電気信号、人の行動の関係について実験をしました。

ある人の脳の随意運動野(筋肉に運動を指示する信号を送る部分)に電極を取り付け、脳に流れる電気信号を計測できるようする。その人に、時計回りに光が点滅するモニターの前に座ってもらう。時計周りに回る光を見て、ある点(例えば時計の6にあたる光)が光った時に人差し指を動かしてもらう。どこで動かすかは、その人が決める。動かした後で、どの点で動かそうと思ったのかを確認する。このような実験です。

ふつう私たちは、①光を見て、動かそうと思う。②脳が反応して、運動を指示する信号を送る。③指が動く。という順番にものごとが起こっていると考えます。ところが、実験によると、「②脳による電気信号」が、「①動かそうと思う意識」よりも、350ミリ秒(0・35秒)速かったのです。つまり、脳の反応の方が、人の意識よりも速いのです。

この実験の結果を考え合わせると、「恐怖を感じる」ということは、脳による反応の結果、つまり、「脳が恐怖を感じさせている」と言えます。

「心」と「脳」はとても面白いですね。
 
参考文献:「脳はなぜ『心』を作ったのか」 前野隆司著 (ちくま文庫) 

written by 英語科 辻

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